スイスフラン

スイス円(CHF/JPY)
スイスフランは有事の際の避難通貨としての一面と、低金利であるため、円と同様にキャリートレードのための資金調達用通貨としての一面を持ちます。

スイスフランの特徴

スイス中銀(SNB)は2011年9月6日、記録的なスイスフラン高を抑制するため一時的に1ユーロを1.2スイスフランに設定し、この水準を守るために無制限介入を行う用意があるという断固とした決意を表明しました。
2001年の9.11テロで米国自体が当事国となった頃から、「有事のドル買い」の威光が薄れてきました。代わりにリスク回避通貨として注目されるようになったのがスイスフランです。
また、現在は主要国のほとんどが低金利政策を取っていますが、スイスフランは以前から低金利の時代が長く、円と同様にスイスを売って金利の高い通貨を買うスイスキャリートレードが多く見られます。スイスの銀行は守秘義務が固く徹底しているためお金が集まりやすく、金利が低いのもその理由からと思われます。ただ、近年ではマネーロンダリングや国外の脱税者が増えるなどの観点から、これを撤廃させようとの動きもあります。
さらに、スイスは世界有数の金保有国でもあります。金もスイスフランと同様安全資産であることから、似たような動きをします。

スイスフランの主な変動要因

スイスフランの主な変動要因として、次の3つがあげられます。

  1. 有事のスイス買い
  2. スイスキャリー取引
  3. ユーロの影響

有事のスイス買い

海外のテロや戦争勃発などの有事で、特に米国が当事者の場合はスイスフランが買われやすいものの、それほど長期化することはありません。

低金利を背景にしたスイスキャリー取引

世界経済が安定してくると、円と同様にスイスキャリートレードの動きが見られます。金利と為替の動きではそれほど強い相関は見られません。それは元々スイスの金利は他の主要国より低いことから、金利狙いの動きが少ないということだと思われます。それよりもいざという時の安全通貨というのが、スイスフランの魅力と言えます。

ユーロの影響

スイスの貿易相手国はEUが大きく占めており、2012年の対EU諸国で輸入は全体の76.0%、輸出は55.5%となっています。そのためユーロスイスはドルスイスと並んで取引が活発です。スイスは自国通貨がユーロに対して強くなることで、輸出に大きな影響を及ぼすことから、頻繁にスイス売り介入を何度か実施しました。しかし、欧州債務問題が拡大したことで2011年中旬からユーロスイスの下落スピードが加速し、スイス中銀(SNB)は最後の手段として無制限のスイス売り介入を実施しました。

今後のスイス円攻略法

スイスフランと円は、低金利で安全通貨としての共通の特徴がある似たもの通貨です。そのため、違いと言えばスイスはユーロの影響を受けやすいのに対し、円はドルの影響を受けやすいということです。ただ、スイス円のクロスになると、ユーロやドルの影響よりも金利水準による動きが強まります。有事の時などのように短期的な動きは別にして、長期的なトレンドで見ると政策が安定していることから、その少しの金利差を狙って攻略することになります。
過去の円とスイスの金利水準を比較すると、スイスは頻繁に変えてくるのに対し、円は長期間低金利政策を変えません。結果的に2000年初頭からスイスを買って円を売るという戦略が主流になります。しかし、リーマンショック以降はほとんど金利差がなくなり、一喜一憂する動きが続きました。
また、アベノミクスによる円安がスイス円を主導する形で推移し、今後も円の動きがスイス円をリードすることになりそうです。そのため、スイス円の取引はドル円とあまり変わりませんので、ユーロスイスの攻略もここで考えていきます。

今後のユーロスイス攻略法

ユーロスイスはリーマンショックの時も、それほど下落はしませんでした。ユーロスイスはドルの影響をあまり受けない通貨ペアということです。
その後の2009年10月のギリシャショックから始まった欧州債務危機により、ユーロへの懸念が広がり始めました。これにより、ユーロから安全通貨としてのスイスフランに資金が大きく流れ始めたことでユーロスイスの売りが強まり、2011年8月には1.0708の市場最安値を更新しました。
スイスフランが対ユーロで大きく上昇したことで、ユーロ圏への輸出が大きく打撃を被ります。スイス中央銀行のSNBは翌月の9月に1ユーロ1.2フランを下回る相場は容認しないとして、無制限のスイス売りユー口買い介入を表明しました。その後2012年末まで、ユーロスイスは1.2フラン付近でほとんど固定相場のような動きが続きました。ところが、2013年に入り、一部スイスの銀行がマイナス金利を適用するとの報道で上昇に転じました。また、この時はスイス政府がSNBに下限を1.2から1.25に引き上げる要請をしているとの噂も流れるなど、ユーロスイスの動きはにわかに活発化してきました。
ユーロスイスはユーロの影響を受けると同時に、スイスの金融政策が大きくかかわってきます。介入は本来人工的なもので、いずれ市場の反撃を受ける可能性が高いものです。ユーロスイスは元々1.5から1.6フラン付近が長く続き、居心地の良いレベルと思われます。欧州景気が回復する時や欧州債務問題が後退する時などは、ユーロスイスの買いのチャンスになります。