オーストラリアドル

豪ドル円(AUD/JPY)

豪ドル(オーストラリアドル)は、かつては高金利で流動性も低いというイメージが強く、トレーディングには不向きと思われがちでした。しかし現在は以前より金利も低下し、豪ドル円の流動性も高まりました。

豪ドルはもはや高金利通貨ではない

世界的な景気後退により、2008年8月に7.25%あった豪ドルの政策金利は、2013年8月には2.5%まで引き下げられました。これにより豪ドル円も大幅に下落するなど、投資家にとっては高金利通貨の魅力の裏にある為替急落リスクをも知ることになりました。しかし、このような為替変動リスクが高い通貨だからこそデイトレによって急落時の損失を限定し、安値を買うこともできるわけです。
2021年現在、0.1%というオーストラリアの政策金利は主要通貨の中では極端に安い水準ではありませんが、高金利通貨と呼べるものではなくなりました。

豪ドル円の主な変動要因

豪ドルの主な変動要因として、次のものがあげられます。

  1. 政策金利
  2. コモディティ価格(原油・金・食料など)
  3. 世界景気、特に中国経済
  4. 米国政策金利とNYダウ

政策金利

豪ドル円を見ていくには、同時にRBA(オーストラリア準備銀行)の金融政策を注視することが重要になります。09年9月に入り金利は底打ち観測が強まり、10月には主要各国に先駆けて0.25%の利上げに踏み切り、2010年11月には4.75%まで引き上げられました。しかし、欧州債務問題が深刻化し世界経済の後退から2011年10月末から再び緩和政策に転換し、2013年11月末現在は2.5%と史上最低レベルまで引き下げられました。市場は政策金利の転換時や追加利上げ・利下げを行うといった観測が強まった時点では、既に先回りして反応します。

コモディティと豪ドルは強い相関がある

オーストラリアの人口は約2,000万人ですが、代表的な資源国の1つです。石炭、鉄鉱石、ボーキサイト、ニッケル、銀、亜鉛など豊富な鉱産資源の世界有数の産出国であると同時に農業大国でもあり、小麦、羊毛、牛肉、乳製品など農産品の3分の2を輸出しています。そのため、豪ドルはコモディティ価格の影響を大きく受ける傾向が見られます。
コモディティ価格の代表でもある原油価格と豪ドル円を比較すると、原油は07年頃から価格は急上昇し、2008年7月には1バレル147ドル付近まで上昇しました。結果的にそれが天井となり09年2月には35ドルを割り込むまでに下落しました。豪ドル円もこの下落と共に急落するなど、いかに原油価格と豪ドルの相関が強いかがわかります。原油価格上昇には中東勢を中心とした投機マネーの動きがあったと言われています。しかし彼らの動きも米国のサブプライムローン問題を契機にした世界的なリセッションによって撤退を余儀なくされ、それが原油のバブル相場崩壊につながりました。その後、原油価格は景気底入れ期待から2011年5月には113ドル台まで上昇。しかし、欧州債務問題の拡大や米国景気減速などから再び下落に転じました。今後も世界景気に左右されやすい原油価格の動向には注意する必要があます。

中国経済の影響が強まっている

オーストラリアの最大の貿易相手国は、2009年に中国が日本を抜き第1位になりました。この頃から中国の経済指標が豪ドルの動きに大きく影響を及ぼすようになりました。特に注目の指標は小売売上高、鉱工業生産、製造業購買部担当者PMI、特にHSBCが発表するPMIは注目されます、また、中央金融政策により上海総合指数の動きが大きく影響されることから、中央銀行の短期オペ(火曜、木曜)の動きにも注目が集まります。中国を中心とした新興国市場の経済はオーストラリアの輸出金額の半分を占めるだけに、豪ドルに大きな影響を与えます。

日本からの投資の影響も大きい

一般的に言えば、基軸通貨の米ドルを中心に円や豪ドルは動きます。ところが一部の期間を除き、ドル円と豪ドル円は同じような動きを見せています。これは円と豪ドルの相関が強いためと考えられます。その理由として豪ドル/ドルとドル/円のクロス(豪ドル/ドル×ドル/円)、つまり豪ドル円の取引が活発に行われているということになります。これは日本からの投資が豪ドルの動向に大きく影響しているこを示すものです。この傾向は市場が安定している時に見られます。市場リスクが高い時にはドルが中心に動くことが多く、ドル円との関連性は薄なります。

米国金融政策とNYダウが豪ドル円に影響

オーストラリア経済と同時に、豪ドルは米国の経済や株式動向に影響されやすい傾向が昔からあります。
NY株式市場が軟調な地合いの時にはリスクオフの相場となり、安全通貨として円が買われやすくなるためです。特に、相対的に金利の高い豪ドル円への影響は大きくなります。反対にNYダウが上昇すると、真っ先に豪ドル円が買われるというパターンが見られます。
NYダウは米国金融政策による影響が大きく、結果的に米国金融政策の動向が豪ドルに影響すると言えます。2013年中盤からは米国が量的緩和縮小と終了の可能性を示したことで、ドルの長期金利が上昇しました。この時はオーストラリアも政策金利を引き下げたばかりで、豪ドルが下落傾向の時だけに更に売りを加速させました。一方、NY株式市場は金利上昇により軟調な地合いが目立ちました。
結果的に、豪ドル円はリスクオフの動きもあり下落傾向が続きました。この時はドル円の影響というよりも米豪の金融政策の違いが豪ドルの売りを強めたと同時に、リスクオフにより豪ドル円が下落したと考えられます。金融政策の転換期においては動きが異なることはありますが、通常はNYダウの動きに影響されやすいのが豪ドル円の特徴です。

豪ドル円の攻略ポイント

  • 豪ドルは現在でも主要国のなかで相対的に金利が高い。
  • 緩和政策の終了が示されると、一気に金利が上昇する傾向がある。
  • 豪ドルはコモディティ価格の影響を受けやすい。
  • 高金利時代には市場リスクに左右されやすく、米国株式市場の影響を受けることが多かったが、今は中国経済による影響が大きい。
  • RBAによる豪ドル高への牽制発言がどこまで効果を維持できるか注目される。