ポンド

ポンド円(GBP/JPY)

ポンドは値動きが激しいのが最大の特徴です。日本でもポンド円(GBP/JPY)はデイトレ用通貨として人気が高い通貨ペアです。

英ポンドの特徴と歴史

かつて基軸通貨であったポンドは、第2次世界大戦でその地位を米ドルに譲りましたが、それでもポンドドルの取引高は現在ドル円に次いで第3位と人気が高い通貨ペアです。ポンドのこれまでの流れを簡単に振り返ります。

ポンドの歴史(ポンド危機後)

サッチャー首相の主導により英国病から立ち直った英国ですが、サッチャー退陣後の90年後半には再び財政赤字が拡大します。その後は東西ドイツ統合などもあり、ECは通貨統合に向けて域内では為替レートを事実上固定するEMSとERMを推し進めますが、ポンドもそれに連れて次第に過大評価されていきます。そこに目をつけた世界的投機家のジョージソロスは92年9月、大量のポンド売りを浴びせ、2.0ドル台にあったポンドドルは1.42ドル台割れまで急落しました。これがポンド危機です。
その後英国はERMから脱退し、ポンドは正式に変動相場制に移行します。その頃から英国経済は回復に向かい、ポンドもユーロが誕生する99年頃まで堅調な動きが続きました。97年にはブレア労働党政権が誕生し、緊縮財政と景気回復から財政赤字は縮小に向かいます。その後世界的な低金利を背景に英国でも住宅ブームが起こり、景気拡大と共にポンドも2002年あたりから大きく上昇に転じました。しかし、07年の米国サブプライム危機を機に英国も政策金利を史上最低まで引き下げました。

ポンドの最大の特徴は値動きが激しいこと

ポンドはデイトレ通貨として最も取引される通貨の1つです。ポンドをうまく乗りこなせるようになるには、まずポンドの特徴を知ることが大切です。
かつての高金利の時とは違い、現在のポンドはむしろ低金利の部類に入りますが、それでも活発な値動きは変わりません。高金利通貨の時には投資通貨としての魅力もあり、投資と投機の両方の動きも見られましたが、今では投機的な動きが中心です。また、数年前は他の通貨に対してポンドの価値自体が高いために値動きも激しいものでしたが、しかし、ここにきてドルに対して1.5ドル、ユーロに対し一時1.0のパリティーに近づくなど価値の大きさは他通貨とそれほど変わらなくなりました。それでも値動きは昔と変わらず激しいということは、それだけ投機の対象と見られている証拠かもしれません。
それはロンドン金融市場と関係があるのかも知れません。ロンドン市場は世界で最も取引が活発であり、投機マネーなども集まりやすい市場です。また、かつて基軸通貨であったということもポンドの奥の深さを感じさせます。旧植民地や英連邦加盟国との長い関係から、中東諸国やアフリカなどのマイナー通貨なども複雑にポンドと絡み合っていると言えます。

ポンドの主な変動要因

ポンドの主な変動要因としては、次のものがあげられます。

  1. BOEの金融政策
  2. 米国金融政革
  3. ユーロポンドの動向
  4. 中東勢の動向

BOE(イングランド銀行)の金融政策

最初にあげられるのは英国の政策金利です。09年3月にBOEは政策金利を英国史上最低の0.5%に引き下げました。また、BOEはこの間さらに量的緩和という非伝統的な手段を講じてきました。ポンドは高金利政策によって経常赤字のファイナンスを行ってきたこともあり、08年後半から始まった大幅な金利引き下げが急激なポンド売りを引き起こしたとも言えます。この時の量的緩和を見てもわかるように、英国の金融政策は一度始めたら徹底して行う傾向があります。英国はインフレターゲットを採用しており、一度インフレが起これば徹底的に金融引き締めを行うということです。

米国金融政策

通貨同士の金融政策の違いは極めて重要ですが、ポンドドルにとっては当然フェッドの金融政策が最も大きな影響を与えます。リーマンショック前の政策金利は英国が5%、米国が2%で、3%の金利差がありました。しかし、米国は2008年11月に量的緩和第1弾(QE1)を実施し、翌12月には政策金利の誘導目標を0~0.25%に引き下げ、実質ゼロ金利政策をとりました。BOEも政策金利を2009年4月には史上最低の0.5%に引き下げるとともに、資金購入プログラム(QE)を実施。2020年3月には0.10%となりました。
米国も第2第3の量的緩和を実施するなど、英国とほとんど同じような歩調で緩和政策を行ってきました。その間時間差や量的緩和の大きさなどで上下に振れることはあっても、結果的に大きな変動はなく推移してきました。米国が英国に先駆けて量的緩和政策の縮小を行うとの観測が高まり、米国長期債利回りが上昇しましたが、その時英国10年債もほぼ同時に上昇しました。英国10年債利回りはこの時1.8%付近からひと月で24%近くまで上昇しました。
これにより、むしろポンドがドル以上に上昇するという現象が起きました。もし、米国が量的緩和縮小の可能性を示さなければ、ポンドの長期金利も同時に上昇することはなかったでしょう。それだけ、英国の金融政策は米国に影響されるということです。

ユーロポンド(EUR/GBP)の動向

英国は貿易額から見ると輸出入共に対EUの比率が5割強と、米国と比べてもユーロ圏との実需取引が非常に大きいことがわかります。為替市場での取引量自体はポンドドルが大きくても、実需ベースではユーロポンドが最も大きいということです。投機取引は最終的にポジションが決済されますが、実需取引は売り切り買い切りとなるため、長期的なポンドの値動きに大きく影響することになります。ユーロがドルの受け皿的な通貨として見られるように、ポンドもユーロの受け皿的な動きが見られます。ユーロ圏でユーロにネガティブな材料が出ると、ユーロポンドの売りが活発になります。反対に、ポンドにネガティブな材料が出たりすると、ユーロポンドは1.0のパリティー近づこうとする動きも見られます。

中東勢の動向

原油価格高騰を受け中東勢のオイルマネーは増大し、さらにそれが原油価格を押し上げるといった動きが、08年7月の原油価格がピークをつけるまで続きました。そのような中東勢のオイルマネーはロンドンのシティーを経由して、一旦ポンド建てにしてからM&Aや直接投資などが行われることが多いため、ロンドンには巨額の資金が流れ込んできます。このように中東勢の対外投資が活発になる時は予想と全く異なる動きが見られることがあります。そのような資金のやり取りがポンドの動きを複雑にしているとも言えます。

今後のポンド円攻略法

ポンド円はポンドドル以上に値動きが激しい通貨ペアです。ポンド円は掛け算通貨ですので、例えばポンドドルが1.3ドルでドル円が100円であれば、1.3ポンド/ドル×100円=130円/ポンドとなります。インターバンクでは直接ポンド円の取引を行う場合もありますが、市場の流動性が低い時はポンドドルとドル円を別々に取引し、それをクロスさせることでポンド円を作ります。このようにポンド円を買う時にはポンドドルも買いドル円も同じ上方向で買うために、ポンド円のような掛け算通貨の上昇や下落は通常の割り算通貨よりも大きな値幅で動くことになります。

ポンド円の損切りや利食いのポイント

大きな値動きの通貨ペアは損切りのポイントが難しく、我慢し過ぎると取り返しのつかない損失を被ることにもなりますが、あまり近くに置くと損切りばかりが先についてしまい、いわゆる損切り貧乏になりがちです。
ポンド円などによく見られる特徴はオーバーシュートです。チャートなどからの損切りポイントよりも少し遠い位置に置いたとしても、ほとんどと言ってよいほど損切りがついてしまうことが多く見られます。経験上から言えば、損切りポイントはずらさずにそのまま置く方が結果は良いようです。反対に利食いの注文を出しておく場合は、チャートポイントの手前に置くのが基本です。ただ、その場でレートを見ながら取引する場合は、注文を入れずにオーバーシュートを期待します。
これまでポンド円の攻略法は、急落したところをすかさず買いを入れ、買い遅れたとしても追い掛ければ十分間に合いました。それは金利差が大きかったからです。しかし、現在のポンド円の金利差はほとんどゼロに近く、これまでのような極端な急落はないとみて良いでしょう。
ただし、東日本大震災などのような特殊な要因でドル円が大きく下落するといった時などは別です。
リーマンショック以降のポンド円は、ドル円の動きに連動しています。ドル円とポンド円は非常に似通った動きが見られます。リーマンショック以降欧州債務問題も含めリスクオフの動きが強まり、安全通貨としての円が買われやすくなりました。また、リーマンショック後に全てのクロス円が急落したことから、円売りに対する恐怖感があったと思われます。
ポンド円も緩やかな下落が続き、2011年9月には史上最安値となる116円台まで下落。その後日銀の介入などから一旦は押し戻されたものの、上値の重い展開が続きました。しかし、欧州債務問題もひと段落したところで、2012年後半のアベノミクスによる円安が始まり下落から上昇に転換。2013年後半には160円まで戻し、2015年6月には195円まで上昇しました。しかし2016年6月には124円台まで下落、その後も上昇と下落を繰り返しています。

値動きが活発な時間帯

ポンド円やポンドドルは、欧州勢が動き始める日本の16時あたりから値動きが活発になり始めます。特に17時から18時にかけては英国経済指標の発表が多く、短期的に激しい動きが見られます。また、深夜1時(ロンドン16時)の日本の仲値に相当するロンドン・フィキシングタイムにかけても値動きが活発です。その他、ライトムーブ住宅価格発表の朝8時や、ネーションワイド住宅価格発表の15時なども値動きが活発な時間帯です。