米ドル

ドル円(USD/JPY)

ドル円(米ドル/日本円)は戦後の1ドル360円から始まり、これまで円高ドル安の動きが続いてきました。その直近までの流れを頭に入れておくことはドル円の特徴を知る近道になります。

ドル円の歴史(1970年代~)

ドル円相場は1971年のスミソニアン協定で1ドル308円に切り下げられ、73年にドルは固定相場制から変動相場制に移行しました。その後2回のオイルショックを経て、80年の外為法改正により実需以外の為替取引が可能となったことで、それまで通常10万ドル単位で取引されていたものが100万ドル単位に変わり始めるなど、外為市場の規模が急速に拡大していきます。
85年秋のプラザ合意を契機としたドル安誘導政策で、急速に円高ドル安が進み、その後の円高と超低金利政策により日本のバブル経済は拡大していきます。当時海外では日本の生命保険会社が「ザ・セイホ」などと呼ばれるほど、機関投資家や投機筋が世界の為替市場を席巻した時代でした。しかし、90年代に入ると日経平均株価や地価の暴落などからバブル崩壊が始まります。日本の海外投資が激減する一方で対米輸出は伸び続けたため、貿易黒字から来るドル余剰の状態は依然として続きドル円の下落(円高)は止まらず、95年春には1ドル79円75銭の史上最安値をつけました。しかし、堪りかねた日本当局はこの円高を食い止めることを米国と合意した結果円安に向かい始め、98年秋には1ドル150円近くまでドル円は上昇しました。
その間、日本国内では大手銀行や証券会社の破綻などが立て続けに起こりました。その頃海外では97年のアジア通貨危機、98年にはロシア財政危機などが起こり、再び円高ドル安に向かい始めます。03年にはイラク情勢などで大幅な円高を予想した世界中の投機筋が円を買い始めたため、日銀は03年から04年にかけて大規模円売り介入を行いました。
しかし、サブプライムローン危機回避のために米国は量的緩和第1段(QE1)をこの年の3月から2010年3月末まで実施すると、ドルは再び下落。ギリシャ問題から発した欧州債務問題の拡大でリスク回避からの円高が進みました。また、日本では2011年3月に東日本大震災が起こり、海外資産売却による円高が進むとの観測からドル円は史上最安値となる75円台に突入しました。その後、大規模介入などで何とか下落が収まり回復しかけたところで、米国は2012年9月に量的緩和第3弾(QE3)を実施しました。
そして、ドル円が再び下落に向かおうとした時に現れたのがアベノミクスでした。2012年12月の第2次安倍政権の誕生により大胆な金融政策を打ち出したことで、円は急速に売りが強まりました。

日米の金融政策

短中期的に見れば高金利通貨は低金利通貨に買われるのが一般的で、円キャリー取引はその典型です。ドル金利もこれまで円に対して比較的高い歴史が続きました。しかし、長期で見るとある時点でそれまでの調整の動きが起きて、ドルが最終的に円に対し安くなっていくという現象が見られます。金利差を見込んでドル円を買っても、時間が経てば為替差損が生じたというわけです。要するに、じりじり買われて急落するといった高金利通貨の特性とまでは言えないまでも、ドル円には長年にわたり同様な特徴が見られたということです。
米国はゼロ金利から更に量的緩和第3弾まで実施したことで、景気の回復が見られるようになりました。2013年5月にはバーナンキFRB議長が市場に対し、量的緩和縮小から終了へと舵を切り始めるサインを送りました。それからは米国長期金利が一時3%近くまで上昇するなど、債券市場も将来の金利上昇を見込んだ動きが活発になりました。
一方、日本は2013年4月からのアベノミクスによる大胆な緩和政策が始まりました。

ニューヨーク株式・債券市場・トル円・クロス円・日経平均

2008年9月に起きたリーマンショックによりNY株式市場は大きく下落し、同時に為替市場ではドルや円が買われるという動きが起こりました。これまで低金利通貨の円を売って比較的金利の高いユーロやポンド、そして高金利通貨の豪ドルやNZドルといった通貨を買っていたポジションの巻き戻しが急速に入ったと考えられます。低金利のスイスフランも同様な動きを見せていたことからもわかります。したがって、この時のドル上昇の動きはユーロやポンドといった通貨が下落したことも大きく影響しているため、積極的にドル買いを入れたとは一概に言えません。ただ、この時の市場では安全通貨のドル買いという話が聞かれました。このような特殊な状況が収まり市場が正常な状態に戻ると、金融政策が株・債券・為替市場の関係も変わってきます。
リーマンショック以降の米国金融政策は2009年に入り、最初の量的緩和を開始。この頃からNYダウは上昇トレンドに入ります。そして、その後第2第3の量的緩和を実施したことで、米国の景気は緩やかな回復に向かいました。その間、ドル円は金利差縮小により一貫して下落傾向が続きました。そして、ユーロやポンドも米国同様に緩和政策を実施したことで同様に下落傾向が続きました。ただ、豪ドルやニュージーランドといった比較的高金利通貨に対しては上昇するといった動きも見られました。
しかし、2012年11月から始まったアベノミクスで再び相場は大きく変わり始めました。この頃からドル円は上昇トレンドに転換し始め、日経平均株価も円安効果も加わり、景気への期待から同時に上昇に転じました。この間のドルは対円で上昇しているものの、各主要通貨に対してはまちまちの動きを示すなど一貫した動きは見られませんでした。
米国FRBが緩和政策を実施している段階では株価は上昇し、債券は上昇(金利は低下)、そしてドルは下落するという関係ができあがります。NYダウが上昇するとリスクオンの動きから、クロス円などの上昇要因となります。また、NYダウが上昇すると次の日の日経平均も上昇するという相関関係もあり、それがまた円安を助長するというスパイラルがこの頃から顕著に見え始めました。
長期にわたり実施した緩和政策の効果による雇用などを中心とした景気回復が見られたことから、2013年5月にバーナンキ議長が量的緩和縮小の可能性を示唆しました。
この発言から債券市場では長期債利回りが大きく上昇に転じ(債券価格は下落)、株価も一時的に売りが強まりました。しかし、徐々に債券市場も落ち着きを取り戻し株式市場はむしろその後は好調な企業の業績を背景に高値を更新するなど、これまでとは異なる動きを見せてきました。
結果的に、米国の景気回復は世界の景気回復期待も高めることになります。一方、量的緩和の縮小はアジアや南米などの新興国から資金が流出することから、それらの国の通貨が高くなるといった副作用も見られました。
また、米国財政問題もドル円にとっては、今後も下落リスクとして付きまとうことになりそうです。2013年の9月末には債務上限引き上げ問題や政府機関の一時閉鎖などから、当初予想された量的緩和縮小時期が先送りされるといった事態に陥りました。
今後も債務上限問題が浮上するたびに米国格付け見直しなど、ドルの下落リスクが高まることになります。

日本の経済指標にも注目

為替相場は2つの国の通貨の網引きの結果が現れるもので、1つの国の動きだけを見ていても捉えきれません。ところが現実には、基軸通貨の米ドルと円とでは圧倒的にドルの影響が強く反映されます。かつて日本に巨大な対米貿易黒字があった頃は、貿易収支の数字によってドル円が大きく動いたことがありました。しかし、その後は貿易収支の数字だけではなく、日本の経済指標が発表されてもほとんど反応することはありませんでした。
それは、日本の発表される経済指標には予想数値が実績値とほぼ同じであるため、ほとんどサプライズがないということも原因の1つかもしれません。これに対し米国の場合は速報値などが多いため、実績値との乖離が大きくなることが度々見られることから、指標発表によく反応します。ただ、アベノミクス以降は日本の経済指標に市場の注目度は高まり始めています。特に貿易収支やインフレ動向を示すものは注目度が高まります。

今後のドル円攻略法

クロス円の動きに注目する

ドル円の動きを見る上で重要な幾つかのポイントがあります。それはクロス円の動きがドル円に大きく影響するということです。世界経済の動向が安定すれば、リスク志向の高まりから資源国通貨や高金利通貨へ資金が向かい始めます。結果的に金利やリスクの低い円は売られやすくなるため、ドル円の買いにつながります。
しかし、同時に資源国通貨に対してはドル売りの動きも活発になるため、ドル売りと円売りの力関係を比べながらドル円の動きを予想します。これまでのドル円の特徴の1つとしてじりじりと上昇し、ある時大きく下落するという動きがあります。特にドル金利が円金利を大きく上回っている時はその傾向がよく見られました。それは長いスパンだけではなく1日の短い間でも同様な動きが見られます。

常に自分にとって根っこ(最小単位のポジション)を持ち続ける

ドル円のトレンドができた時には、まずは根っこのポジション(最小単位のポジション)を持つようにします。例えば下降トレンドの途中に一時的な上昇があっても基本的にドルショートのポジションを持ち続けるようにし、急落のチャンスを狙います。急落の際にはポジションを膨らませ、戻しの場面では縮小もしくはスクエアーにし、決して流れに逆らうドルロングにはしないことです。