世界経済

重要な経済指標は発表日時が大体決まっています。週初めにその週の主な指標や要人発言、金融政策決定会議などのスケジュールを確認しておきましょう。

各指標の重要度を把握しておく

経済指標を分野別に「雇用」、「物価」、「貿易・国際収支」、「住宅」、「生産」、「景気・個人消費」の6つに分け、重要度を次の3つで表します。
A:相場に最も影響を及ぼす経済指標の1つ
B:市場が注目する指標の1つで、しばしば相場に影響を及ぼす
C:通常はそれほど影響しないが、予想と大きく異なると影響を及ぼす

雇用
非農業者部門雇用者数(雇用統計)|労働省|月次|毎月第1金曜日/22時30分|重要度 A
失業率(雇用統計)|月次|毎月第1金曜日/22時30分|重要度:A
新規失業保険申請件数|週次|毎週木曜日/22時30分|重要度:C
ADP雇用統計|月次|雇用統計の2営業日前/22時15分|重要度:C
チャレンジャー人員削減数|月次|翌月初旬|重要度:C
物価
生産者物価指数(PPI)|月次|毎月15日前後/22時30分|重要度:B
消費者物価指数(CPI)|月次|毎月15日前後/22時30分|重要度:B
個人消費支出/(PCE)|FRB|月次|毎月下旬/22時30分|重要度:B
貿易・国際収支
貿易収支|月次|毎月10日前後|重要度:C
住宅
住宅着工件数/建築許可件数|月次|毎月第3週/22時30分|重要度:B
新築住宅販売件数|月次|毎月下旬/24時|重要度:B
中古住宅販売件数|月次|毎月下旬/24時|重要度:B
S&Pケースシラー住宅価格|月次|毎月最終火曜日|重要度:B
生産
鉱工業生産指数|月次|毎月15日前後/23時15分|重要度:C
耐久財受注|月次|毎月25日前後/22時30分|重要度:B
ISM製造業景気指数|月次|毎月第1営業日/24時|重要度:B
ISM非製造業景気指数|月次|毎月第3営業日/24時|重要度:B
フィラデルフィア連銀製造業景況指数|月次|毎月第3木曜日/24時|重要度:D
景気・個人消費
GDP(国内総生産)|4半期|毎月25日前後/22時30分|重要度:A
小売売上高|月次|毎月第2週/22時30分|重要度:B
個人所得・個人支出|月次|毎月下旬/22時30分|重要度:C
消費者信頼感指数|月次|毎月最終火曜日/24時|重要度:C
ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)|月次|毎月第2金曜日/24時|重要度:C
ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)|月次|毎月最終金曜日/24時|重要度:C

注意点

発表時期や発表頻度に違いがあり、事後に改定されるものもある

米国の経済指標は、調査から発表までの期間が日本よりも短期間です。例えばGDP統計などを見ると、米国では四半期終了の翌月には速報値が発表されますが日本では翌々月になります。米国指標は早い段階で発表されるために信頼性は低くなります。しかし、早めに発表することにより市場の衝撃を緩和する効果もあります。改定値は大幅に修正されることも珍しくありませんが、市場は既に終わった改定値に対してはほとんど反応せず新しい指標だけに注目する傾向があります。お国柄というのか、日本では正確な数値が固まるまで時間をかけるため日本の統計値はほとんど改定されず、もし改定されたとしても小幅なものに留まります。そのためか、日本の経済指標の発表はあまり注目されません。

定義の違いに注意する

国によって数値の定義が異なることがあり、単に国際比較をすると間違った判断につながるので注意が必要です。例えば失業率は、日米では失業者の定義が異なります。また米国のレイオフ、日本の終身雇用など労働慣行、人口構成・生産年齢人口の割合にも違いが見られるため、単純に比較できません。したがって、各国の数字のどちらが高いか低いかなどの比較で見ることは危険です。見るのであれば方向性や、前回の数字との比較で改善したか、悪化したかといった観点で判断することになります。

分野別の特徴

雇用に関する経済指標

物価に関する経済指標

物価は金利動向に直接関わるもので、金融政策の転換時期には特に注目されます。物価が上昇しインフレが進行すれば、これを抑制するために金利の引き上げ圧力となります。物価安定を目標とする中央銀行は物価動向に特に注目しており、重要指標の1つとなります。

貿易・国際収支に関する経済指標

国際収支とは、外国と一定期間に取り交わした経済に関わる全ての取引をまとめたもので、経常収支と貿易収支に分かれます。外為市場における需給はこの国際収支で決まるという理論もあり、お金の流れを見る上で重要な指標となります。1980年代から90年代にかけては、日本と米国の貿易収支の格差が市場の注目を集めました。日本の膨大な貿易黒字が円高傾向を招いた要因の1つであることは間違いないでしょう。
最近ではそれほど重要視されなくなりましたが、景気回復局面では今後再び注目度が高まる可能性があります。

住宅に関する経済指標

2008年、住宅バブルの崩壊により、低所得者向けサブプライムローン破綻の問題が深刻化し世界的な金融危機を引き起こしました。住宅市場の動向は米国のみならず世界の景気にも大きな影響を及ぼすため、市場の注目度は高いと言えます。

生産に関する経済指標

生産部門において製造業と雇用の関係は強く、例えば米国の自動車業界はこれまで自動車不況の際に大規模なリストラが行われ、その度に多くの雇用が喪失しました。また、ドルレートの水準は製造業の雇用と製品の生産量に強い影響を与えることから、注目されます。

景気・個人消費に関する経済指標

米国以外の主な経済指標

米国以外の経済指標にも注意を払う必要があります。特にユーロ圏や英国、そして日本や中国など主な指標も知っておきましょう。オセアニア諸国などそれ以外の国でも、その国の金融政策の発表など、週初めにチェックしておくことが重要です。

ユー口圏の経済指標

ユーロの経済指標は主にECBと欧州委員会により発表されます。これらはユーロ導入諸国からの数値を合成して算出したものです。また、ユーロ圏で最大の経済規模を誇るドイツの経済指標は、最もユーロに影響を与えますので合わせて見る必要があります。その中でもドイツ企業の景況感を調査したIFO景況感指数は、景気の先行きを見る上で最も注目されます。
ただ、重要度から見るとほとんどが「C」のレベルと見て良いかもしれません。

ユーロ圏
GDP(4半期/重要度:C)
消費者物価指数(HICP)(月次/重要度:C)
生産者物価指数(PPI)(月次/重要度:C)
鉱工業生産指数(月次/重要度:C)
ドイツ
GDP(4半期/重要度:C)
IFO景況感指数(月次/重要度:B)
ZEW景況感指数(月次/重要度:C)
英国
GDP(4半期/重要度:C)
ネーションワイド住宅価格(月次/重要度:C)
ライトムーブ住宅価格(月次/重要度:C)

要人発言にも注意する

経済指標や金融政策の発表は事前にいつ行われるかが決まっていることから、前もってポジションを仕込みやすくデイトレーダーにとってはチャンスの時と言えます。これらのイベントと同様に為替の変動要因として注目されるのが、要人発言です。あらかじめ予定されている、金融政策発表後の中央銀行総裁の記者会見や講演、議会証言などでの発言がこれにあたります。その中でも、FRB議長やECB総裁、米財務長官などの発言は特に注目されます。また、金融サミット前後なども要人発言が活発になるので要注意です。
時に予想外のサプライズ発言などで市場が大きく乱高下をするということもあるので、前もってスケジュールチェックは必ず行うようにします。